薄紅は遠い

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暖かい冬は　長引く風邪のよう
寒くはないのに止まらぬ咳嗽
魔法の言葉じゃ癒えないこの躰
気管　雪に化粧　呼吸出来なくなる

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それは神話を穿つもの

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でもどうやってそれを止める　冗談
幸福な夢見て　白い鳥
芥子の実の甘さに魅入られたから
もう美しい夏　戻れない

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暖かい冬は狂い咲く花のよう
冴えた一瞬は　おそらく幻
肺腑に織り成す　恋の病と似た
燻る微熱は　眠れぬ　夜　呼ぶ

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大人にならなきゃ　夜が怖いから
気づかないまま私は征こう

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でもどうやってそれを止める　冗談
無力な細い指　空を切る
夏の影の孤独　思い出しても
手を離せばいい　と、嘘を吐く