top of page
礼拝堂七号室
熱情の果実
熱情の果実
キャンバスを燃やしたあの臭いをまだ憶えている
乾いた絵の具 指でなぞった ふざけた追想
咽喉が痛くなるほど サイダーを飲み込んだのなら
あの日消えた君のことをわかってしまえるだろう
君が愛した熱情の果実は未だ胸に
息が詰まるほど鮮やかなその香に接吻をした
詩が紡いだ感傷に君の名前を付けた
色褪せていくほど美しく、劣化していく
それは狂い咲きの花火によく似ていた……
残滓を埋めたならきっと花になれる
君が握った熱情の果実はこの胸に
息が切れるほど青白いその手を追い続けた
詩で遺した感傷を青空に放ったら
色付いていくほど美しく、炭化していくよ
bottom of page