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礼拝堂七号室
残雪のみる夢
去年より冷たくなった手で触れる雪の温度は同じ
格子越しの深雪は目が痛くなる位綺麗で、
幸せな幻を願ってしまう
凍る息はあなたを呼ぶ声の軌跡
寒空吹き荒ぶ風に乗せて
悴んで億劫な意識は夢の淵
醒ます陽光をずっと待っている
去年より寂しい銀世界
雪に濡れる花弁は無い
聖夜も年の始まりも冷え込んでいることを
今年も知らずにいたかった
雪解けはいつ来るのだろうか
あなたの暖かい手で春へ誘って
凍る瞼はあなたを願うための帷
僅かな温もりが幻を呼んで
悴んで億劫な意識は夢の中
醒ます聞きなれた声を待っているけど――
軋む肺に香る雪解けの予感
忘れるはずのない拭う指先
錆びた鍵を開けてどこまでも行けるよ
その手で春の在る場所へ
凍る体はあなたと旅立つために
差し込む希望に二人、身を委ねて
はにかんで笑う姿は夢の跡
醒ます陽光をずっと待っていよう
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